ノスタルジーな下痢

突然だが皆さんは我慢ならないうんこに強襲を受けたことはあるだろうか。あの便意が攻撃してきた時の感覚はかなり耐え難い。体ではヤバいと感じても助けを求めようとも絶望のあまり言葉にアウトプットする余裕さえない苦悶、いや正確にはうんこはアウトプットされそうなのだが。

 

Fラン留年候補生3年目の俺は今年の春、初めて選挙というやつに行ってきた。つい最近選挙権を手に入れたのだ。鼻をほじりながら呪いのビデオを見てる場合じゃない。是非ともオトナの権利を行使してやろうと(親に行ってこいよって言われた)いうことで会場へと陣を進めた。

 

会場はたまたま自分の母校の小学校だった。せっかくなので当時の通学路を歩いていくことにした。十数年で言うのも生意気ながら懐かしかった。

 

ということで会場到着、体育館とご対面。その後特に時間もかからずに投票完了

 

せっかくなのでちょっと懐古しながら校舎まわりを歩いてみた。

校庭、ジャングルジム、そして導かれるように小さなメダカを飼育している池の前に辿り着いた。

 

水面は怪しい灰色の雲を揺らしていた。

おい待てよ、ここは…

 

 

 

…ブリブリブリブリブリブリブリブリ!

 

 

 

鮮明に覚えてる。

2012年 放課後 俺はここでランボルギーニのV8エンジン顔負けの暴発音と共に気になるあの子の前で下痢をもらした。その咆哮は俺の確固たる便意を洗いざらいぶちまけた。

拭えない過去に再会した。厳密には下痢も拭えなかったのだが。

 

うろたえた俺は訳も分からず友達と女の子の前で宣言した

 

「うんこしちゃったから帰るわ!」

 

小僧、うんこ漏らしたらトイレに行けよとツッコミたくなるところだがとにかく家に帰ろうと思った。きっと生物の帰巣本能とはこういう事なんだろう。

帰り道も3歩進む度に魔物がケツから顔を出そうとしてきやがる。だからなるべく衝撃を加えないように死にかけのリオレウスみたいにケツを閉めて足を引きずって帰った。

歩くほど追加で漏らしそうになる。「うっ」と悲痛な声を禁じえず通行人の視線が痛かった。

 

家に帰りうんこの処理に勤しむと神からの追い討ちのように親にバレて説教されたが生まれて初めて俺は人の痛みを知れたのかもしれない。

 

小学校の思い出は薄れたものが多くて凄くノスタルジーな感じがするがこの記憶だけは「リアル」だった。